2000/09/23 

UOをやっていた頃の知人(正確には同僚の知人)から
メールがあり、ちょっとしたエピソードを思い出しました。
UO自体をノンフィクションとするならば、この物語はノンフィクションです。

マーガレットはブリタニア大陸に到着したばかりだった。
横にはアゼリアという2つ下の妹を連れている。
A「お姉ちゃん。街はまだ遠いの。」
M「もう少しのはずよ。」
A「おなかすいたよー。」
M「着いたらアゼリアの好きなフィッシュアンドチップスを食べましょうね。」

首都ブリテインはブリタニアのちょうど中央にある。
この2人の故郷は魔法都市ムーングロウ。
ブリテインまではムーンゲートを使って比較的短時間でこれるが、
女の子の足には少々つらかったかもしれない。

M「だいたいあなた、そんなに大きなバッグを持って。いったい何が入っているの?」
A「ジェムをいっぱい持ってきたの。」
M「石がたくさん入っているのね。そんなものブリテインのマジックショップで買えば良いのに。」
A「これは特別なんだよ。おうちの近くに住んでるわんこが集めてきてくれるんだ。」

アゼリアにはテームの技能もあった。もう少しで馬もテームできるようになるほどだ。

M「見えてきたわ」

首都ブリテインは人口20000人。北部にはロードブリティッシュの居城が
堂々と聳え立つ大都市である。人々の夢、欲望、愛、その他諸々の感情が
交錯する街だ。

M「賑やかな街ねー。」
A「すごいいい。」

きょろきょろとして歩く他所者は、スリの格好ターゲットになる。
ちょうど鍛冶屋の前での一瞬の出来事だった。
怪しげな男がアゼリアに近づいてきて、アゼリアのポーチをすっと取り上げたのだ。
タウンガードはそれに気付かなかったようだ。

A「あっ。ないっ。」
男「へへへ。」
A「かえしてー。」
ガードがやっと気付いて男に問い掛ける。
ガード「お前スリか?」
男「誤解ですよ旦那。これはさっきそこの街外れで買ったんだ。」
A「嘘。今取ったよ。かえしてー。」
男「なんだこの小娘は。俺が取ったところを誰か見たのか?え?」
A「いや。かえしてー。かえしてよー。」
アゼリアは泣く。
ガード「現行犯以外は捕まえられないんだよ。誰か取ったのを見たガードはいないのか?」
男「いるわけないや。取ってないもの。」
男はその場を離れようとする。
しかし、マーガレットが怒りの形相で男に走り寄り、言った。
M「下衆め!穢れた魂この場で亡きものにしてくれる!」
マーガレットは一歩下がってゆっくり剣を抜いた。マーガレットの剣のスキルは既にGMで、
その姿は一瞬でその場に修羅を呼ぶ精悍さと気迫を作り出した。
男「う、うわっ。」
しかし、切りかかろうとしたその時、ガードが止めに入った。
ガード「ダメだ!街なかで他人に切りつければ私は君を殺さなければならんことになるぞ!」
M「くっ」
男「へ、へへっ。じ、じゃあな。」
男は走り去った。アゼリアはしゃがみこんで泣き、マーガレットは怒りに打ち震え、
ガードはその状況になすすべもなく、立ち尽くした。


その一部始終を見ていた者がいた。その者は鍛冶屋の店先にある金床で
その出来事の間、ずっと1本の剣を鍛えつづけていた。
沈黙の中、マーガレットにゆっくりと近づき、こう言った。

鍛冶屋「お嬢さん。怒りを静めないか。鳥が全部逃げてしまった。」

マーガレットは我に返り、その鍛冶屋の顔を見た。穏やかな顔の、高齢の鍛冶屋だ。

鍛冶屋「この街には、ならず者も多くいるんじゃ。お前さんたち、身なりからすると、
ムーングロウの出身じゃろう」
鍛冶屋「あそこに比べれば最初は我慢できないこともたくさんあるじゃろうな」
鍛冶屋「人の心には悪が潜んでいるものだ。この街ではそれが表に出やすいんじゃろう」

鍛冶屋はそこまで言うと、今まで鍛えていた一本のサーベルをマーガレットに差し出した。

鍛冶屋「この剣を取れ。万人の心に潜む悪と戦うために。」

そのサーベルは青白く光り、周りから邪悪な空気を消し去っていた。まったく見事なものだ。

鍛冶屋「さあ行け。この世界が欲望の闇にうずもれてしまう前に。」
M「おじいさん。。」

アゼリアはというと、ガードから小さなペンダントをもらってすっかり元気になっていた。
A「わーい。もらっちゃった。お姉ちゃーん。」

すっかり日は暮れ、マーガレットとアゼリアの空腹は限界にきていた。
ガードに食堂と宿の場所を教えてもらい、礼を言って、2人は歩き出した。

マーガレットの心には、さっきの言葉が強く刻まれていた。
「この剣を取れ。万人の心に潜む悪と戦うために。」
マーガレットが再び剣を手にして見ると、根本には「William」と、銘が彫られていた。
「William おじいさん、ありがとう。私はこの剣で、全ての悪と戦います。」

ブリタニアにまた、物語が増えそうだ。

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今考えてもしみじみ、UOを骨まで楽しんでました。



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